1. はじめに:伝統を超える新たなチャレンジ
屏風や襖などの伝統的な表具製品を中心に手がけてきた泰山堂。しかし、近年ではその枠を超えたオリジナル家具やインテリアアイテムの開発にも積極的に取り組んでいます。
その一例が、備後デニムを活用したホテル向けのデニムソファやアメニティボックス、クッションカバーなど。今回は、表具メーカーならではの技術とアイデアがどのように活かされているのかを詳しくご紹介します。
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2. 開発の背景:デニム生地への注目
2-1. 福山市×備後デニム
泰山堂の本拠地である広島県福山市は、繊維産業が盛んな土地柄であり、備後デニムの産地として知られています。
- 高品質なデニム生地が地場産業として根付いている
- 世界的ファッションブランドにも使用されるほど評価が高い
こうした地域資源と、屏風・表具の製作ノウハウを掛け合わせることで、新たな価値を生み出すプロジェクトがスタートしました。
2-2. ホテル備品の提案
ホテルの客室やロビーは、独自の世界観を大切にしており、一味違ったインテリアアイテムを探しているケースが多々あります。
- ベーシックな素材ではなく、トレンドや個性を演出できる素材を求める
- 国内外のゲストに「日本らしさ」と「モダン」両方を感じさせたい
これらのニーズに対し、備後デニムという日本の地域資源と表具技術を組み合わせたアイテムは、まさに新鮮なアピールポイントとなります。
3. デニムを用いたホテル備品の具体例
3-1. アメニティボックス
画像のように、木枠にデニム生地を貼り込んだアメニティボックスは、客室のちょっとした小物入れやスリッパ入れなどに最適。
- 堅牢な木製構造で長く使える
- デニム素材ならではのカジュアルかつ上質な質感
3-2. デニムクッションカバー
クッションカバーをデニムに変えるだけで、空間の印象が一気にカジュアル&スタイリッシュに。
- クッションの形状・サイズは自由にオーダー可能
- 洗濯できる点もデニムならではのメリット
3-3. デニム生地のソファ
さらに、大きなインパクトを与えるのがデニムを使ったソファ。
- フレームは木製だが、座面や背面にデニムを採用
- 高級感とラフさが共存し、世界観のあるインテリアに仕上がる
4. 表具技術×デニムの相乗効果
4-1. 丁寧な縫製・貼り合わせ技術
屏風製作で培ったノウハウを応用し、繊細な布貼りや縫製が求められるデニム家具もスムーズに対応。
- 糊の扱いや生地の伸縮性を熟知
- 角の処理や見返し部分など細部まできれいに仕上げる
4-2. 強度・耐久性へのこだわり
デニムは一般的に厚みや織り方がしっかりしているので、耐久性に優れています。
- 長期間使うホテル備品に向いている
- 鮮やかな色落ちや味わいが出る場合もあり、経年変化を楽しめる
こうした点で、機能性とデザイン性を両立できるのがデニム備品の大きな魅力です。
5. 既存製品との併用で一体感のある空間づくり
デニムを使用した備品はもちろん、従来の屏風やパーテーションなども組み合わせれば、和モダンな空間を演出できます。
- デニム生地のパネルで壁面を装飾
- 金屏風との対比で意外性のあるコントラストを楽しむ
- 畳スペースとのコーディネートで和洋折衷の新感覚スタイル
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6. 今後の展開:オリジナルオーダーや販路拡大
6-1. オーダーメイドへの対応
泰山堂ではデニム以外の素材でも、さまざまなカスタムオーダーに応じています。
- 特定のブランド生地を使いたい
- ロゴ刺繍やワッペンなどで個性を演出したい
- サイズ・色合いなど、柔軟に調整したい
こうした要望にも、表具メーカーとしての実績を活かしながら丁寧に対応可能です。
6-2. 海外へのアピール
デニムといえば、世界中で愛される素材です。
- 日本生まれの高品質デニム×伝統工芸というストーリーは海外でも大きな反響が期待できる
- ホテルや個人宅のインテリアオーダーを通じて、国際的なファンを増やしていく可能性
今後、海外のホテルやレストランなどへも販路を拡大し、日本のクラフトマンシップを広く届けたいと考えています。
まとめ:表具業界から生まれる新インテリア
表具業界と聞くと、どうしても襖や屏風など伝統的な製品のイメージが強いかもしれません。しかし、泰山堂ではその枠にとらわれず、地域資源である備後デニムや他の素材を取り入れ、ホテルや商業施設に向けたオリジナル備品を生み出しています。
- デニム素材のアメニティボックスやクッションカバー
- ソファやパネルなど大型インテリアへの応用
- 表具技術との相乗効果で、高品質・高耐久を実現
このように、表具メーカーの枠を超えた柔軟な発想こそ、時代に合わせた新しい価値の創造につながるのだと改めて実感します。もしホテルや店舗などで「個性ある空間演出をしたい」とお考えなら、デニム生地の備品をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
日本の伝統技術と地場産業が出会うことで生まれる、新しいデザインの可能性。これこそが表具業界から広がる未来のインテリア像ではないでしょうか。
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