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【実例】金屏風の丁番修理で再び輝きを取り戻す:表貼りを生かした巧みな職人技

はじめに:金屏風の丁番トラブルをどう解決する?

長年使用している金屏風は、開閉を繰り返すうちに丁番(蝶番)部分が劣化し、切れてしまうことが少なくありません。本来、屏風の構造は紙丁番(和紙と布を組み合わせた独特の蝶番)により、スムーズな開閉を実現していますが、この丁番が破損すると、屏風は折りたためなくなり、使用や保管に支障が出てしまいます。

今回ご紹介するのは、実際にご依頼いただいた金屏風の「丁番修理」事例です。特筆すべきは、表貼りに書作品が入っているにも関わらず、書の部分をほぼ損なわずに丁番を修理できた点。経験豊富な職人の試行錯誤と技術が光る修理の一例として、金屏風を使い続けるユーザーにとって大いに参考になるでしょう。

修理前の状況:切れた丁番とガムテープ補強

状態確認

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お客様からお預かりした金屏風は、丁番が完全に切れてしまい、応急処置としてガムテープで補強されていました。これは一時しのぎとしては仕方ない選択ですが、見た目や耐久性に問題があり、もちろん本来の姿とは程遠い状態です。

本来の丁番修理の流れ

通常、丁番が切れている場合、表貼り(屏風の表面に貼られた和紙や絵柄)も含めて全面的な貼り替えが必要となるケースが多いです。なぜなら、丁番は屏風の構造上、表面素材と裏打ち素材の間に挟み込まれており、部分修理が難しいからです。

ところが、今回のお客様は、「書の入った表貼りを生かしたまま、丁番のみを修理したい」というご要望でした。これは職人にとって簡単なミッションではありません。表面素材を大幅に剥がせば丁番の交換は容易ですが、大切な書作品が損なわれてしまうリスクが高まります。

表貼りを生かすための職人技

細心の作業:表貼りをわずか5mmだけめくる

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試行錯誤を重ねた末、職人は「表貼りを最小限の幅でめくり、新たな紙丁番を差し込んで糊付けする」という方法を選択しました。その幅は、わずか5mm程度。ほんの僅かなスペースで、紙丁番を新たに挟み込み、固定する技術は、長年培われた経験なくしては成し得ません。

このような繊細な処置を行うことで、書の入った部分を大きく傷つけずに丁番を復元できました。お客様の「この書をそのまま残したい」という要望に応えるため、可能な限りダメージを回避したのです。

厚手の紙で「羽根くるみ」補強

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新たな紙丁番を挟み込んだ後は、丁番部分をしっかりと補強するために厚手の紙で「羽根くるみ」を行います。羽根くるみとは、丁番部分を覆うように紙で包み込み、強度を増す手法です。今回は表面に掛かる丁番が最小限で脆弱な構造になったため、羽根くるみで補強し、耐久性と安定性を確保しました。

裏張りの新規取り換えと縁打ちオゼ

最後に、裏張りを新しく貼り替えることで、画面全体の強度と美観を取り戻します。縁打ち(縁)やオゼ(側面貼り紙)を行い、全体を締めることで、屏風としてのフォルムを再構築。これにより、修理前と比べて格段に安定した開閉が可能となり、かつ表貼りの書はそのまま維持されました。

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左:修理前 右:修理後

修理後の効果:書作品と機能性の両立

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修理完了後の金屏風は、外観もスッキリと整い、丁番部分の切れやテープ補強といった「応急処置」の面影はありません。表貼りに残った書は、ほぼ影響を受けずに美しく保たれています。

お客様は「表貼りを生かしたまま修理できるなんて思わなかった」と、大変喜んでくださいました。長年の職人経験と創意工夫の賜物です。

この事例から学べること

  1. 部分修理が不可能な場合でも諦めない
    通常、丁番修理には表貼りの全面貼り替えが必要と考えられがちですが、場合によっては今回のような最小限の剥がしで対応可能なケースもあります。専門家に相談すれば、予想以上の柔軟な対応が期待できます。

  2. プロに任せるメリット
    経験豊富な職人がいれば、難易度の高い修理にも対応可能。書や絵柄など、思い入れのある作品が貼られた屏風でも、残せる可能性が高まります。

  3. 信頼できる老舗業者の選択が鍵
    長年の実績とノウハウを蓄えた修理専門業者は、単なる「直し」ではなく、「作品を生かす」修理法を提案できます。価格や効率性だけでなく、作品への想いをくみ取ったアプローチをしてもらえる点で大きな価値があります。

当社への問い合わせ・お見積り

丁番修理はもちろん、屏風の張替え、修復、カスタムメイドなど、幅広いご要望にお応えしています。「自分のケースも同じように修理できるのだろうか」「この書画を残したまま丁番を直せるだろうか」といった疑問があれば、お気軽にご相談ください。

専門スタッフが丁寧にヒアリングし、写真や状況説明を基に最適な修理プランをご提案いたします。複雑なケースでも、可能な限りお客様の要望に寄り添い、最善策を見つけ出せるよう尽力します。

まとめ

今回の実例は、切れた丁番で使用困難となっていた金屏風を、「表貼りをほぼ損なわずに」修理することに成功した事例です。表貼りの書という貴重な要素を生かしながら、紙丁番を新規挿入・補強し、全体のバランスを取り戻したプロセスは、熟練職人だからこそ成し得る高度な技術を示しています。

同様のトラブルや要望をお持ちの方は、ぜひ専門の屏風修理業者へ相談してみてください。諦めていた部分修理や、一部を残しつつの再生など、意外な解決策が見つかるかもしれません。あなたの大切な屏風が、再び美しく、使いやすい形で蘇るお手伝いをいたします。

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