はじめに:変わらない伝統、変わりゆく環境
創業120年以上の歴史を誇る泰山堂では、屏風作りの昔ながらの製造技法をしっかりと受け継いできました。一方、現代の宴会場やホテルは冷暖房が完備され、乾燥や湿度差などが大きく変わるなど、環境面での課題も少なくありません。そこで当社では、昔のままの工程だけでなく強度とメンテナンス性を両立させるため、新たな改良を加えてきました。
今回は、その具体的な事例と工夫について詳しくご紹介します。
1. 紙丁番:独自開発の構造で高い強度と修理のしやすさ
1-1. オリジナルの「特殊強化布+強靭な和紙」のハイブリッド
泰山堂の屏風の最大の特徴のひとつが、紙丁番(かみちょうばん)です。
通常、屏風を折り畳む構造には金属丁番(蝶番)を多用する製品もありますが、当社では独自開発した特殊強化布と高品質の和紙を複数層に重ねる製法を採用しています。
この構造がもたらすメリット
- 耐久性UP:丁番自体が1か所~数か所ではなく、折れ目全体に均一に力を分散
- 破損のリスク低減:金属丁番がゆるんだり壊れたりする心配がほぼない
- 修理のしやすさ:万が一破損しても、部分的な紙張り替えが比較的容易
ポイント: 金属丁番が一部壊れただけで全体が使えなくなる…といったトラブルを減らし、長期的なメンテナンスコスト削減に寄与しています。
1-2. 紙丁番だからこその柔軟性
折れ曲がる部分を紙構造にすることで、大きく開く・狭く折りたたむなど、設置場所や使用状況に応じた微妙な角度調整がスムーズ。
また、金属がきしむ音などもなく、見た目も和風かつ自然なのが特徴です。
2. フッ素コーティングの金紙:汚れ防止とハレーション対策
宴会場のスクリーンバックとして使われる金屏風は、料理の飛び散りやお酒などがかかる可能性があります。
そこで当社では、金紙の表面にフッ素コーティングを施し、汚れを簡単に拭き取れるようにしています。
2-1. 濡れタオル&乾拭きでOK
- 汚れ耐性:醤油や酒などをこぼしても、濡れタオルで拭き取り、すぐに乾拭きすればほとんどシミになりません。
- 日常メンテナンスが簡単:パーティー終了後の清掃時間を大幅に短縮。清潔な状態を保ちやすいのがポイント。
2-2. 撮影時のハレーション防止
金屏風は光を反射しやすく、写真撮影の際に**ハレーション(光が飛ぶ現象)**を引き起こすことも。フッ素コーティングが適度に光を拡散するため、会場照明やカメラフラッシュによる乱反射を抑え、写真映えする背景を実現します。
3. 使い続けられる伝統製法
3-1. 昔から変わらぬ下地作り
屏風の骨組みは、木製の下地を何枚も貼り重ねて強度を出す「地貼り」工程で作られます。泰山堂ではこの工程を一切妥協せず手作業で行い、長期的に歪みやねじれが起きにくい構造を追求しています。
3-2. 裏地や縁の仕上げ
裏地にもこだわり、耐久性の高い布や紙を貼り合わせています。さらに縁や木枠の塗装にも、職人が漆やカシュー塗りなどを施し、美観と耐久性を両立。
補足: 仕上げ材は用途や予算、意匠に合わせてカスタマイズ可能です。
4. 長期使用を前提としたメンテナンス性
泰山堂の屏風は「買い替えを前提にせず、一生モノとして長く使ってほしい」との思いから、修理や張り替えがしやすい設計を心がけています。
4-1. 一部破れ・汚れへの対処法
- 紙丁番や金紙が一部破れた場合:必要箇所のみを補修し、全体を貼り替えるコストを抑えられる
- フッ素コーティングで汚れに強い:こまめな清掃で美観を維持しやすく、結果的に張り替え頻度も少なくなる
4-2. 貼り替えの容易さ
紙丁番構造ゆえ、骨組みに再度別の金紙や布を貼る場合もスムーズ。結婚式場やホテルで「イベントに合わせて絵柄や色味を変えたい」というニーズにも柔軟に対応可能です。
5. 導入事例:ホテル・式典会場でのメリット
耐久性
- 頻繁に移動したり折りたたんだりしても紙丁番が破損しにくい
- フッ素コーティング金紙で傷・汚れが付きづらい
コスト削減
- 修理・メンテナンスがしやすく、長期的に使えるため買い替え頻度が低い
- 結果的にコストパフォーマンスが高い
利用者の評判
- 写真撮影でもハレーションが少ないため、ゲストから好印象
- “高級感”と“実用性”を両立できると式場スタッフからも好評価
6. お問い合わせ・オーダーメイドの流れ
泰山堂では、伝統技法に基づきながらも現代の環境に合わせたカスタマイズオーダーを承っています。例えば、蝶番部分を金属製にする「折衷型」などの対応も可能。
オーダーの流れ
- ご要望ヒアリング:用途・サイズ・デザイン・設置場所など
- お見積り・仕様決定:紙丁番or折衷型、フッ素コーティングの有無、金紙・裏地の素材など
- 製作開始:木製下地から紙貼り、金紙貼りまで一貫制作
- 納品・メンテナンス説明:修理や保管方法を丁寧に案内
まとめ:昔ながらの技術と現代の知恵を融合した“プロ仕様”の屏風
泰山堂がつくる屏風は、骨組み・紙貼り・仕上げといった伝統的な工程を守りつつ、現代の宴会場やホテルで求められる耐久性と汚れ対策を徹底追求。紙丁番やフッ素コーティング金紙といった独自の工夫により、長持ちするうえにメンテナンスも楽な仕上がりを実現しています。
もし、式典やイベントで高品質な金屏風を検討しているなら、ぜひ泰山堂にご相談ください。伝統と革新が詰まったプロ仕様の屏風をお届けします。
コメント