はじめに:結納と金屏風の関係
結納は、日本の伝統的な婚礼儀式の一部であり、両家が正式に縁を結ぶ重要な場です。この「ハレの日」には、格式や品格を演出するアイテムが欠かせません。その一つが「金屏風」。金屏風は、和婚の演出において気品と高級感を放ち、新郎新婦やご家族、来賓を迎える空間を格上げします。
近年、和婚や結納のシーンでは、会場や自宅での小規模なセレモニーも増えています。そんな中、コンパクトなサイズの金屏風が注目を集めています。
「小さいからこそ融通が利く」「でも、安っぽくならずに高級感を出したい」――このようなニーズに応えるため、今回は結納用金屏風の製作事例をご紹介します。
今回の依頼概要:高さ50cmの4曲小型金屏風
今回ご依頼いただいたのは、高さ約50cm程度の小さな4曲金屏風。「結納」という改まった場で使用するため、「簡易的な作りではなく、本物志向でありながらコンパクト」を求められました。小さな屏風は扱いやすく、多目的に使える利点がありますが、その分、ディテールへの妥協が目立ちやすい難点もあります。
- サイズ:高さ50cm前後、4曲構成
- 用途:結納の場で使用
- 要望:
- 小型でも安っぽくない高級感
- 和の雰囲気を保ちつつ、モダンなアクセントも
- 指定の箔押し金を用い、シンプルで格調高い仕上がり
こうした条件を踏まえ、当社の職人たちがアイデアを形にしていきました。
小型金屏風の魅力:場所を選ばず、多用途に活躍
一般的な金屏風は6尺(約180cm)以上の高さが主流ですが、今回のような50cmサイズなら、テーブルの上や床の間、玄関先でも簡単にディスプレイできます。結納の際はもちろん、後々は五月人形やお雛様の後ろ飾り、ちょっとした華道の背景としても再利用可能です。
小型金屏風の利点:
- 設置が容易:軽量で扱いやすく、和室・洋室問わず場所を選ばない。
- 多用途で経済的:結納で一度使った後も、季節行事(端午の節句、雛祭り)、和風パーティー、ロビーやカウンターの飾り付けなど、さまざまなシーンで活用可能。
- 保管しやすい:コンパクトサイズは収納場所に困らず、必要なときだけ簡単に取り出せる。
デザイン・仕様へのこだわり:小さくても本格派
結納という特別な行事にふさわしい格調を維持するため、以下のポイントを重視しました。
ツヤ有り縁で高級感をプラス
縁(ふち)は屏風の額縁とも言える部分。安価な仕上げではマットな塗装だったり、単調なラインになりがちですが、今回は「ツヤ有り縁」を採用。小さくとも光沢のある縁が、金箔の輝きを引き立て、全体に洗練された印象を与えます。
金具はカブセ金具を採用
金具は機能性だけでなく、視覚的なアクセントとしても重要です。カブセ金具は、屏風の折り畳み部分をしっかりと補強しつつ、見た目にも品位を添えます。また、太鼓鋲(たいこびょう)で天縁の釘隠しをすることで、細部にまで気を配った上質な仕上がりを実現しました。
指定の箔押し金で表貼りを
今回のご依頼では、表貼り素材として指定された「箔押し金」を使用。純金箔とは異なる味わいを持つ箔押し金は、モダンな印象を醸し出しながらも、和の伝統的な美しさを維持しています。小型サイズでも、しっかりと箔を生かす技術が問われるところです。
製作プロセス:経験豊富な職人技が光る
素材選定と下地作り
小型でも妥協はしません。下地にはしっかりした木枠や和紙を使い、後々の反りや歪みを防ぐ工夫を施します。気候変動や湿度対策も含め、職人が長年の経験から最適な組み合わせを選択。箔貼り・仕上げ
箔押し金を均一に貼り込むには、高度なテクニックが必要。面積が小さいからこそ、ミスが目立つため、繊細な手作業で表面を美しく仕上げます。縁や金具の取り付け
ツヤ有り縁やカブセ金具など、ディテールパーツを適切な位置・角度で取り付けることで、屏風の耐久性と美観を両立。太鼓鋲を使い、釘部分を隠して高級感をさらに引き立てました。最終検品と調整
開閉のスムーズさや、テーブル上での安定性、表面の光沢や傷の有無を徹底的にチェック。大事な日の道具として、一分の隙もない状態で納品します。
納品後の活用例:結納から季節行事まで
今回のお客様は、結納のために特注しましたが、小型金屏風はその後も多用途に使えます。
- 五月人形のバックグラウンド:端午の節句には、五月人形の後ろに設置して豪華さを演出。金箔の輝きが人形の質感を引き立てます。
- 華道・茶道のワンポイント:和室での茶会や華道展示でも、小型屏風が空間を引き締めるアイテムに。生け花の背後に置けば、花色と箔のコントラストが映え、季節感やテーマを際立たせます。
- クリスマスや洋風イベントへの応用:金箔は和のイメージが強いですが、他の装飾と組み合わせれば、洋風イベントやパーティーの背面装飾としても活躍。グローバルなシーンで使用できる汎用性があります。
他の小型屏風との比較:なぜ「安っぽく」ならないのか?
市販の小型金屏風は数多くありますが、安価なものはどうしても「おもちゃっぽい」印象になりがちです。それに対し、当社製品は以下の点で格が違います。
- 職人手作業の丁寧な貼り込み:工場の大量生産品では得られない繊細な仕上げ。
- 品質部材の選定:安価な合板や簡易的な蝶番は使用せず、長期使用に耐えうる素材を選択。
- コーティング技術と耐久性:VC加工など特殊技術で、輝きや風合いを長期間維持。
これらが相まって、単なる「小型屏風」ではなく、「本格仕様の小型金屏風」という付加価値が生まれます。
当社(泰山堂)の強み:伝統と革新の融合
明治20年創業以来、泰山堂は金屏風製作一筋に歴史を紡いできました。その中で培われた「伝統的な職人技」と「現代ニーズへの柔軟対応」が当社の強みです。
- 伝統技術の継承:紙丁番、下張り技法、漆塗りなど、千年以上続く技法を守り続ける。
- 最新技術・素材の採用:デジタル技術や特殊印刷技法、VC加工など現代技術で品質向上。
- カスタムオーダー対応:用途・予算・イメージに合わせ、特注サイズや特別な素材選定が可能。
- アフターサポート:修理・張替え対応、メンテナンスアドバイスにより、長期的な満足度を提供。
お問い合わせ・お見積り
「結納用に、小型だけれど本格的な金屏風が欲しい」「このサイズで、こんな箔を使いたい」といったご要望は、お気軽にご相談ください。
お客様の用途やご予算、ご希望の納期などを丁寧にヒアリングした上で、最適なプランをご提案します。
まとめ:小型でも高級感あふれる結納用金屏風で「ハレの日」を格上げ
結納は新たな門出を象徴する大切な行事。そこに置かれる金屏風は、空間の印象を左右する重要なアイテムです。今回ご紹介した小型金屏風の製作事例は、「小さいからこそ扱いやすく、でも安っぽくない」という難題に、職人技と厳選素材で応えた成功例です。
コンパクトでありながら、高級感を保ち、結納の場を格上げする一枚。後々は季節行事やインテリアにも使える汎用性が魅力です。
もし似たようなニーズやアイデアがあるなら、ぜひ当社にご相談ください。長年の実績とノウハウで、あなたの理想を形にし、人生の大切な瞬間を彩るお手伝いをいたします。
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