はじめに:大使館へ本金箔の金屏風を納品
先日、都内4か所の大使館へ本金箔の金屏風を納品してまいりました。
値段は張りますが、きちんとメンテナンスすれば50年、100年と長く使っていただける一生モノです。納品レポートは別途ご紹介するとして、今回は多くの方が気になる「本金箔」の実態について深掘りしていきます。
1. 実は「金100%」ではない本金箔
「本金箔」と聞くと「金をそのまま薄く延ばしたもの」と思われがちですが、実は合金である場合がほとんど。純金100%の金箔は非常に柔らかく、延ばすのが困難という性質があります。
1-1. なぜ合金にするのか?
- 延ばしやすさ:適度に硬さを加えるために、銀や銅などを少量配合し、薄く均一に延ばせるようにする
- 色味の調整:銀が多いほど青みがかった金、銅が多いほど赤みがかった金に
- 強度と加工性:柔らかすぎる純金よりも扱いやすく、金箔貼り作業(箔押し)がスムーズ
1-2. 色調のバリエーション
本金箔でも、銀や銅の配合量によって「3号金」「4号金」などと呼ばれるランクや品番が存在します。これにより同じ“金”でも微妙に色味が異なり、用途や好みに応じた選択が可能です。
2. 「金箔1枚」に潜む職人技
実際に当社のような金屏風専門店では、金箔そのものの質だけでなく、それを屏風に貼る際の職人技が重要となります。
2-1. 薄さと均一性
金箔は極限まで薄く延ばしているため、ほんの些細な凸凹やムラがあると貼り付け時にシワや破れが発生しやすくなります。高品質な箔は、より安定した厚みと仕上げを持っています。
2-2. 接着剤の扱い
接着剤の量や塗布方法によって、仕上がりの光沢や耐久性が左右されます。職人が長年の経験で培った“勘”によって、温度や湿度に合わせて調整を行います。
2-3. 配合による色の違い
先述のとおり、微妙な銀・銅の配分によって、金箔の色味が変わります。当社では、お客様の好みや既存の会場インテリアに合う色味をヒアリングし、最適な箔の種類をご提案します。
3. 用途別に見る「本金箔」の魅力
当社では、例えば大使館やホテル、企業のロビーなど、格式ある空間を演出したい方から多くのご依頼をいただきます。長期的に使用する機会が多いので、初期コストはかかっても「金はやっぱり輝きが違う」「長く使える」といった理由で選ばれています。
3-1. 式典・公式行事
国賓を招く席や記念式典など、厳粛で華やかなシーンでは本金箔の金屏風は定番。まばゆい輝きが空間を一気に格上げしてくれます。
3-2. 大使館や海外拠点
海外の要人に日本の伝統をアピールする絶好のアイテムとして、大使館や海外拠点への納品依頼も多数。日本らしい金色の空間演出が、高い評価を得ています。
3-3. 高級旅館・ホテル
ロビーやスイートルームのアートピースとして、本金箔の屏風や装飾パネルが利用されるケースも増えています。金箔の経年変化を楽しみながら使えるのも、長く愛される理由の一つです。
4. 洋金箔との違い:コストと見た目
関連記事:洋金箔とは何か? 本金箔との違いと、金屏風への活用ポイント
- コスト面:洋金箔は銅と亜鉛(真鍮)を主原料とし、大量生産が可能。相場に左右されにくく比較的安価
- 見た目:特定の距離や照明環境では、洋金箔と本金箔を見分けるのはかなり難しい
- 耐久性:基本的に屋内使用なら洋金箔でも十分だが、過酷な環境や長期的な色合い保持はやはり本金箔に軍配
用途や予算に応じて使い分けるのが賢い選択と言えます。
5. お問い合わせ・オーダーメイドの流れ
「やっぱり本金箔にこだわりたい」という方は、以下のステップでご相談ください。
- ヒアリング:設置場所や用途、使用頻度、インテリアカラーなど
- 箔の種類選定:3号・4号などの合金比率で色味が変わる
- サイズ・枚数決定:6尺(高さ約180cm)や7尺(約210cm)など標準サイズほかオーダー対応
- お見積り・納期:ご要望に合わせた仕様・納期を提示
- 製作:下地作り~箔押し~検品
- 納品:本体の取り扱い説明やメンテナンスのアドバイスも実施
まとめ:奥深い「本金箔」の世界
一言に「本金箔」といっても、合金比率による色味の違いや貼り作業の繊細さなど、実は多くの職人技が詰まっています。ご予算や空間イメージに合わせて、さまざまなバリエーションを選べるのも魅力です。
当社では、大使館やホテル、式典会場などで培ったノウハウを元に、最適な箔や仕立て方法をご提案いたします。半世紀、あるいは100年先まで使っていただける本物の金屏風を検討してみてはいかがでしょうか?
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