レプリカ・複製制作
2017.7.12
屏風は、その可動性や折り畳み可能な構造から、古来より和空間の「しつらい」として重宝されてきた調度品。しかし、現代では空間演出や映像撮影、美術展示など、様々な分野で活用が進んでいます。今回は、高さ228cm・幅167cmの大判サイズで再現したレプリカ屏風についてご紹介しましょう。
この特注制作では、桃山時代の絵師・長谷川等伯による「松に秋草図屏風」をモチーフに、オリジナルを可能な限り忠実に再現。映画撮影用として利用されることを前提にしたオーダーメイドの一例です。

通常の6尺(約180cm)程度でも十分に迫力のある屏風ですが、今回の制作は高さ228cm、一面幅167cmという特大サイズ。
大型の屏風は映像作品や大規模イベント、特別展示で特に有効。カメラの画角や観客の目線に入るだけで、空間のスケール感や歴史的背景を強調し、視覚的インパクトを生み出します。
長谷川等伯作「松に秋草図屏風」は、その繊細な筆致と金箔背景に描かれた草花が特徴。拡大サイズのレプリカなら、絵柄が一層クリアになり、観賞者や撮影時のカメラが細部まで識別可能。物語世界への没入感や、美術品としての価値が高まります。
長谷川等伯(1539-1610年)は桃山時代を代表する絵師の一人。狩野派と並ぶ画家集団を形成し、繊細かつ力強い花鳥画・山水画で知られます。「松に秋草図屏風」は等伯が手がけた作品群の中でも、自然への優美な眼差しと金箔背景の豪華さが融合した逸品です。
今回のレプリカ制作で、オリジナルは四曲形式でしたが、サイズや工程上の都合から「二曲一双」に仕立てました。


高さ228cm×幅167cmともなれば、通常より大きなパネルや下地素材が必要です。湿度や温度管理を徹底し、和紙貼り・金箔貼り・絵柄再現を丁寧に行うことで、品質を妥協せずに大判化を実現。
文化財級作品を再現するには、高解像度データや専門の印刷技術を用い、原画の筆致・色合い・質感を忠実に再現します。絵の具の微妙な濃淡や金箔の光度差を考慮し、デジタル処理と職人技が合わさることで完成度を高めます。
映画撮影では、スクリーンに映り込む背景は、移動や再セッティングが頻繁に行われます。そのため、耐久性や軽量化を考慮し、適度な厚みや補強を施すとともに、蝶番(丁番)もスムーズな開閉が可能な仕様を採用しました。

この大型レプリカ屏風は、映画の時代劇セットで使用される予定。
参考:映画『散り椿』での屏風製作事例はこちら:
映画『散り椿』×長谷川等伯作屏風レプリカ:時代劇美術を支える職人技
時代劇美術では、背景小道具が作品世界への没入感を大きく左右します。歴史的正確性やヴィジュアルインパクトを備えた金屏風が背後にあれば、俳優の演技やカメラワークを引き立て、観客に「本物の歴史空間」を感じさせるパワーがあります。

今回の「松に秋草図屏風」だけでなく、当社は他の等伯作の屏風も複数製作。
こうした経験蓄積により、文化財級の作品再現が得意分野となり、様々な現場で活躍中です。
大判レプリカ屏風制作や特定の歴史的名画再現をお考えの方、映画やイベント、ホテルロビー演出などで高品質な屏風が必要な方は、お気軽に当社へご相談ください。
用途やご予算、期日、デザインイメージを共有いただければ、専門スタッフが最適なプランとお見積りを提案します。
今回紹介した「大型レプリカ屏風」の制作は、伝統工芸の技術と最新のデジタル・印刷技術が融合した「再現芸術」の一例です。歴史的価値ある作品を大胆なスケールで再現することで、映画や展示、国際イベントなど、多様な場面で日本文化と美意識を発信できます。
もし、大判サイズでインパクトある作品を背景に設えたいと考えているなら、こうしたレプリカ屏風が最適な選択肢となるでしょう。ぜひこの機会に、伝統技術と先端手法が生み出す芸術空間を検討してみてください。
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